住宅用家屋証明書と登録免許税の軽減措置

登記申請を行う場合、様々な軽減措置が認められています。

以前ご案内させていただきましたのは相続登記申請にかかる軽減措置です。今回は建物の購入時に利用される住宅用家屋証明書について取り上げたいと思います。

さらに住宅用家屋証明書を使用し、登録免許税の軽減措置を受けられる登記の中でも中古住宅に関する適用について案内させていただければと思います。

 1 個人が下記の住宅を売買又は競落によって取得した場合には、所有権移転
   登記及び住宅ローンの抵当権設定登記に関し登録免許税の軽減が受けら
   れます。軽減の内容は下記のとおりです。
    所有権移転登記
    本則・建物の評価額(評価証明書に記載の金額)×20/1000
    軽減・建物の評価額(評価証明書に記載の金額)× 3/1000
    抵当権設定登記      
    本則・債権額×4/1000
    軽減・ 債権額×1/1000
   こちらを実際の数値にあてはめてみますと、建物の評価額が金1000万
   円で住宅ローン借入額が金1000万円の場合
    所有権移転登記
     本則の登録免許税 20万円
     軽減の登録免許税  3万円
    抵当権設定登記
     本則の登録免許税  4万円
     軽減の登録免許税  1万円
    実際評価額が金1000万円の中古建物ってそうありませんので、実際
   の減税額はそれ程でもないと思われます。しかし大幅な減税になるのは
   間違いありません。

 2 住宅用家屋証明書を取得出来る建物の条件は下記のとおりです。
    住宅専用面積が50㎡以上
    木造・居宅の建物については新築年月日から20年以内
    耐火建築の居宅(鉄骨鉄筋コンクリート等のマンションが一般的)であ
    れば新築年月日から25年以内
   上記の建物であることが原則となります。

   上記の期限を過ぎている建物であっても下記の書類のいずれかを提出でき
   る場合、住宅用家屋証明書を取得出来ます。
    (1) 耐震基準適合証明書(写し)でも可
    (2) 住宅性能評価書(写し)でも可
    (3) 既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約書(写し)でも可
   ただし、これらの書類を取得するためにはコストもかかります。登録免許
   税の軽減額、住宅ローン控除を使用することによる減税額との比較をする
   ことも重要かと思います。さらに取得するには時間も必要ですので、物件
   の引渡期日との兼ね合いも注意が必要です。

平成の新築建物でも平成10年までの新築物件は20年を経過しています。先日も単純に築年数が経過してしまっていると本則の登録免許税で計算させていただいた登記が、お客様の方で責任保険の契約を締結をされていたということで、登録免許税がかなり安くなったお客様もいらっしゃいます。築年数だけで判断せずに、上記の書類が揃えられるのかどうか検討されることをおすすめします。

また住宅用家屋証明書を取得するためには、必要な書類が定められています。必要な書類は各自治体がHPにて公表していますので、取得する不動産の所在地の自治体HPにてご確認下さい。